インフルエンザを怖いものにしているのは誰か?

※2009年5月の記事です。当時のインフルエンザ流行に関するものです。

■前書き

言わんとする事は旧作『2ちゃんねるを恐いものにしているのは誰か?』と似てます。
2ちゃんねるの誹謗中傷においても、豚インフルエンザにおいても、
怖いのは『それ自体』ではなく『それに釣られた言動をしてしまう人』です。
旧作を書いてから数年経ちますが、この類の社会問題は全然無くなりそうにないので
久しぶりに記事書く意欲に火が付いたのでR

時折語尾に『でR』が付くのは俺の趣味でR。気にしないでちょーだいでR


■呼称について
マスコミは最新の豚インフルエンザを『新型インフルエンザ』と呼んでいますが
冷静に考えてみれば鳥インフルエンザが最近出たばっかりです。
他にも、タミフルが利かないのが今年初めにも発見されたり、つまり、新しいのは時折出ています。
ですので、新型インフルエンザと言うと『何年頃に流行った新型インフルエンザなの?』ってことになります。
そんなわけで別の言い方をすることにしましたが、
この記事のために色々調べていたら安っぽい言い回しがお似合いなようなので
『トンフル』にするのでR


■マスコミの演出に釣られるべからず

まぁ、昔からのことですが、マスコミは演出力によって物事を重大そうに見せかけるので、
マスコミの報道に対しては演出に反応しず内容だけを判断すべきです。
有りがちな手法は:
 @ミクロの事実でマクロを印象付ける
  例えば、1人のヲタクや若者による事件一つをもって、彼ら全体を印象付けるとか。
  ※明確に言うのは、誹謗中傷と問われて言い逃れ出来ないので、大抵避けます。
 A大したこと無い事を迫真の演出で煽る
  冷静に判断したり資料を突き合わせて判断したりすれば陳腐だと判断される内容でも、
  演出力に物言わせて多くの視聴者に凄そうに思わせるとか。
  ※この場合、内容は改ざんしてはいないので、誹謗中傷とは問われないわけです。
です。

トンフルの場合も同様で、大衆は見事にマスコミに煽られてしまっているのです。(詳細後述)
マスコミは、例年のインフルエンザと比べて大したこと無い事を迫真の演出で凄そうに報じ、
(海外も含めて)一部で起きていることを元に日本全体を印象付けているわけです。
例えば、海外での子供の死亡や、数人の帰国者が感染した程度のことを悲壮に報じたり、
一部の学校休業や施設(最近だとキオスク休業)の状況をもって、
日本全体がトンフルに巻き込まれているように印象付ける等です。
壁|・A・) だったら、普段のインフルエンザは地獄絵図のように報じねばでR

オイラはマスコミに冷めているし統計情報が好きなので、
トンフル発生当初から例年と比べて凄くはないと思っていましたが
世間があまりにも過剰反応するので『感染症情報センター』のデータで真偽を確かめたのでR
以下詳細でR


◆死者の発生について
マスコミはトンフルが流行り始めた頃に、海外での子供の死亡を重大な危機そうに報じていましたが、
インフルエンザが流行れば抵抗力の弱い人(子供や老人)の誰かが死ぬのは例年のことでしょ。
『感染症情報センター』にも記事図表が有り、流行ると年に何千人も死んでいるのでR
(図表は10万人当たりの人数なので、総数は大体1000かければいいです)

仮に海外での子供の死亡が驚くべきことなら、毎年無事に年を越せるか不安になるべきでR
あ、たとえ日本の死者が出ても、それで驚くなら例年はどうなるのやらでR


◆感染規模について
普通のインフルエンザは毎年30万〜150万人感染し、直近の感染者数においても、
5月4日〜5月10日7963人4月27日〜5月3日は14933人感染しています。
でも、それで国民が強く興味を持ったり、大きな問題になったりしたわけでもないのです。
それに比べてトンフルは5月25日の時点で累計345人です。しかも弱毒性だしw

仮にトンフルの感染数で神経質になるのが妥当だとしたら、毎年風邪の季節は戒厳令を敷くべきでR
ちなみに、一部の業界や団体は『パンデミック』を恐ろしいように語っていますが、
インフルエンザだけでも毎年全国的に大量に感染しているので、今更なことでR
壁|・A・) パンデミックビジネス(笑)儲かりまっか?


◆施設への集団感染について
学校で複数感染したり休校したりするのも例年のことですので(リンク先の12報目当たりを見るべし)
それが驚くに値するなら毎年何回も驚き、政府を追及することになります。
で、それって、関係無い国民にとって何か問題でしたっけ?

仮にトンフルにおける対応が妥当なら、国民は毎年冬はマスクを付け、
厚生大臣は毎年のように謝罪・辞職・交替しなければならないのでR


◆新型であることについて
マスコミはトンフルを新型と報じているが、新型ウィルスは最近の鳥インフル等の色々な種類のが出ていのでR
また、タミフルが利かない新種のが今年初めにも発見されているのでR

仮に新しいのが出るたびに新型と言うなら、トンフルは『新々々々・・・々型』でR


◆変種による強毒化について
マスコミは『弱毒性から強毒性』への警戒とか報じていますが、
それってさ、弱毒性をそのまま報じちゃインパクト弱いから、杞憂なことを煽り立てているだけじゃね?
新型ウィルスの変種が驚異と言われても、新種は前述したとおり時折起きるものですし、
それに対して大がかりな事前対策を取ったこととか、事前対策不足で問題になったことって有りますか?

仮にトンフル並に突然変異を警戒するのが妥当なら、
毎年様々なウィルスの突然変異にビクビクしなきゃ・・・特に強毒性は超強毒化をねw


◆対策と被害について
今までは、トンフルとは違い国民全体が神経質になっていませんが、
(一部の施設等では大問題になれど)国民全体的には大した事になっていませんねぇ。
さらに、今年のは弱毒性でしょ。

仮にトンフル並に対策しなければ大問題になるのなら、とっくの昔に日本は疫病で廃れているのでR


・・・・・みなさん、冷静になって昔を思い出すのです。
例年は、トンフル位の感染力・実害性を持つ病気に対し、どれ位の・どのような対策を取ったのか。
それと、例年の対策によって、一部の施設等では大問題にはなれど、
日本全体においては大した事にはならなかったこともね。


■誰が問題なのか?

要点:
@一部のリテラシーの無い大衆が最も悪い
Aそれに付け込むマスコミや野党や政治系団体も悪い
Bでも、国民の多くも、多かれ少なかれ原因である

今回の問題なのは、危機感を煽るマスコミや、無闇に叩きたがる政治関係者もですが、
根本的にはリテラシーの無い大衆が最も悪いのです。
そもそも、全ての大衆が冷静に判断していれば、彼らが煽ったところで
『インフルエンザは、例年と同じように抜かり無く対処すればいい』と一蹴されるのがオチです。
2ちゃんねるの誹謗中傷と同様に、彼らは自分自身ではリアル社会に影響を及ぼせずに
メディアの世界で騒ぐだけですし、活動意欲は『釣られやすい人』に依存しているわけです。
彼らがトンフルを異様に煽るのは、一部の大衆が容易に釣られてくれるからこそです。


でもね、他の大衆に問題がないわけじゃないです。
まぁ、マスコミと一部の大衆が煽ったり釣られたりするせいで、ある程度は過剰な報道や対応が為されますが、
大衆全般が釣られなければトンフル騒動は『一部の人が煽り・釣られる程度』に収まり、
現状程の大騒動にならなかったはずです。
例えば、マスクが売り切れるほどマスクが売れたり、1人の店員の感染如きで店舗が休業したり、
仕出し弁当から豚肉全般が消えたり、出張の自粛が行われたり、
1人の生徒の感染如きで修学旅行が廃止になる等は、
その他大勢の大衆が冷静になっていれば起きないはずです。

日本は民主主義なので、良かれ悪かれ大衆の賢さが世の中を左右します。
良い世の中でありたいのなら1人1人が賢く判断するように気を付けるべきです。
壁|・A・) ま、ネット上でこんなこと書いても、読ますべき人には読まれないのでRがw


■相互極性化

トンフル騒動の極端さは、ある集団心理が絡んでいます。
それは『相互極性化』と言うべき現象です。
(俺が作った用語です。既存の社会学用語に的確なのが無かったので)
似た用語に『集団極性化』が有ります。
両者の違いは集団極性化が1つの集団内で起きるのに対し、
相互極性化は各集団間で極性化し合うことです。
きちんと定義すると、『各集団が、互いの言動によっても極性化させ合うこと』です。
※トンフルにおける各集団はマスコミ・大衆・各組織(政府・企業・施設)の3種に分類されます。


具体的には、以下の3種の悪循環によって思考や言動が極性化します。

@マスコミ・野党←→大衆の悪循環

マスコミが煽る→大衆が釣られる→マスコミが格好のネタだと判断し煽り続ける
→大衆が釣られ続ける→マスコミが格好のネタであるとの判断を続け煽り続ける
→大衆が(以下延々と

A大衆←→各組織(政府・企業・施設)の悪循環

各組織が世論に押されて過剰に対応する
→大衆が『各組織が本腰入れていること』を根拠に重大さを確信し、世論は益々高まる
→各組織は世論の高まりに応じて過剰な対応を続ける
→大衆が益々『トンフルの重大さ』を確信する
→各組織が世論の高まりに応じて(以下延々と

Bマスコミ・野党←→各組織の悪循環

各組織が世論に押されて過剰な対応をする
→マスコミ・野党が、トンフルを各組織の『弱み』と判断して叩きに利用する
各組織は責任を追及されないように過剰な対応を続ける
→マスコミ・野党は『弱みであること』を確信して叩きに利用し続ける
→各組織は責任を追及されないように過剰な対応を続ける
→マスコミは(以下延々と

■怖いと言っていること人が怖い

感染症による実害は2種類有り、それ自体による健康被害だけでなく、国民全体の対応もです。
(店舗や学校が閉鎖したり、消費が落ち込んだり、企業が休業や過剰な負担をする等)
トンフルの場合、前者は大したことないのに、後者によって大きな被害を出しているのです。

逆を言うと、例年のインフルエンザは、それ自体にてトンフルと桁違いの被害を及ぼしていますが、
国民全体の対応においてはトンフルに比べれば可愛いものです。
何せ、大衆はインフルエンザには慣れているし、マスコミも極端に煽りはしなかったので、
必要以上の対応や慣れないことをする必要も無く、
必要な分だけの措置を例年通り行う程度で済んでいるのです。

しかし、トンフルは、それ自体は大したこと無いものの、
過剰な危機感のせいで過剰に不慣れな対策を行う羽目になり、
景気や生活に大きな実害を出しているわけです。
典型例は、感染者が25日の時点で345人なのに、
国内修学旅行を見合わせた学校は417校と、日本中の感染者数よりも多いです
壁|・A・) もうね、アホかと馬鹿かと。


国民全体の対応が極端になった原因は、過剰な危機感が集団極性化したことにあります。
(相互極性化もですが)
そもそも、一部の人が過剰に警戒する程度なら、精々『最近は旅行キャンセルが少し多め』とか
『マスクの売れ行きが良い』という程度で済むのですが、
多くの人が釣られるとによって集団極性化が生じ、
社会への影響が桁違いになって混乱を招くはめになったわけです。

企業や政府に関しても、本来なら彼らは損失や例外行動には慎重なので
自分からは過剰な対応はしないはずですが、
上記のような集団心理によって過剰な対策をせざるを得なくなり、
金銭や人員の負担を大きく被る羽目になったわけです。

このように、トンフルの怖さは、過剰な対策をする人達の集団極性化による社会混乱です。
要は、怖いのはトンフルではなく、怖いと言っている人こそが怖いのです。


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